Research Press Release
真核生物の糖鎖を作る大腸菌
Nature Chemical Biology
2012年3月26日
真核生物の糖タンパク質を作る細菌株を作製する方法が、今週の『Nature Chemical Biology』で発表される。その研究成果は、さまざまな疾患の治療法の探索に用いられている糖タンパク質の実用的生産に対し、直接的な重要性を持つと考えられる。
現在、医学的治療および科学的研究に必要な糖タンパク質の製造では、生物学的機能にきわめて重要な特定の多糖を維持するために、操作が容易でない真核細胞が用いられている。真核生物の糖タンパク質は、糖が多い特別な炭水化物の連なりによって標識されており、それが対応するタンパク質の所在部位、機能、および安定性を決定づけている。細菌も一部のタンパク質に炭水化物を付加するが、その糖の構造は、真核生物が作り出す糖タンパク質とは大幅に異なっている。
今回、Matthew DeLisaたちが作製した遺伝子組み換え大腸菌の細胞は、5つの単糖からなる炭水化物の鎖を生成することができる。この鎖は、真核生物の炭水化物配列の「核心的構造」であり、さらに同じ細胞で作られる複数の真核生物タンパク質に付加することができる。
doi:10.1038/nchembio.921
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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