ロボット工学:水から上がった魚のように歩くロボット
Nature Communications
2026年6月3日
生物にヒントを得たロボットを用いて、一部の魚類が陸上で歩行できるメカニズムの実証を報告する論文が、オープンアクセスジャーナルNature Communications に掲載される。この実証実験は、数百万年前に最初の陸生脊椎動物がどのように陸上に進出し、新たな環境を移動したのかについて、新たな知見を提供する可能性がある。
ポリプテルス(bichirs;多鰭魚)、ナマズ(catfish)、および肺魚(lungfish)など、いくつかの現存する魚類は陸上を歩くことができる。これまでの観察から、ひれや体の形状は異なるものの、これらの種はいずれもおおむね同様の移動方法を用いていることが示されている。これは、尾びれを使って前進し、前方の2つのひれを安定性と支持のために使うというものである。著者らは、これを「うねるような三脚歩行(undulating tripod gait)」と呼んでいる。動物の遊泳や陸上歩行は、いずれも十分に研究されているものの、陸上魚の移動様式については、おもに種ごとの観察にもとづいて記述されてきたため、共通する原理を特定することは困難であった。
Michael Ishidaら(ケンブリッジ大学〔英国〕)は、ポリプテルス・セネガルス(grey bichir、Polypterus senegalus)やそのほかのいくつかの「歩く魚(walking fish)」の動きにもとづいてコンピューターモデルを作成した。このモデルによるシミュレーションの結果、これらの種は同じ基本的な運動原理を共有していることが示唆された。その原理とは、前びれや頭部を固定点として体を支え、尾を使ってその固定点を中心に体を前方に押し出すというものである。最も速く効率的な歩行は、ポリプテルス・セネガルスの条件にきわめて近い状況下で観察された。著者らは、次に、これらの結果を検証するために実物大のロボットを製作した。コンピューターモデルとロボットモデルの両方により、この歩行様式が幅広い体の形状において機能し続けることを示した。この結果は、魚類における効果的な移動が、特殊な四肢を持たずとも、体の屈曲と地面との接触の単純な協調によって生じ得ることを示唆している。著者らは、また、この歩行様式の収斂(しゅうれん)は、共通の祖先ではなく、種を超えて経験される共通の力学的制約を反映しているとも示唆している。
形態的に多様な種に共通する力学的特徴の特定は、最初の陸上脊椎動物の移動様式をどのように再構築するかという点において、重要な示唆を与える可能性がある。
- Article
- Open access
- Published: 02 June 2026
Ishida, M., Berio, F., Po, T. et al. The undulating tripod gait as a model of the locomotion of walking fish. Nat Commun 17, 4596 (2026). https://doi.org/10.1038/s41467-026-73111-2
doi:10.1038/s41467-026-73111-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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