Research Press Release
子宮内膜症の進行にSRC-1が果たす役割
Nature Medicine
2012年6月4日
子宮内膜症が進行する際にステロイド受容体コアクチベーターであるSRC-1が果たす役割が明らかになった。この研究は、このSRC-1タンパク質が子宮内膜症治療の標的分子として利用できる可能性を示唆している。
子宮内膜症は、エストロゲンに依存して起こる子宮の炎症疾患と考えられる。これまでにBert W O’Malleyたちは、子宮内膜症組織では完全長のSRC-1タンパク質の量が減っていることを発見した。しかし、それが子宮内膜症の進行にどのようにかかわるかはわかっていなかった。
O’Malleyたちは今回、外科的に子宮内膜症を誘発したマウスの内膜症組織でも、子宮内膜症患者から得た組織試料の微小環境の子宮内膜症細胞でも、これまで見つかっていなかった70 kDaの短縮型SRC-1が、非常に多くなっていることを発見した。この増加は、炎症性メディエーターであるTNF-αからの情報伝達に応じて起こる。
O’Malleyたちはこれらの知見から、子宮内膜症を進行させる、短縮型のSRC-1のかかわる新たな発症機序を提出している。また、今回の発見により、TNF-α阻害剤エタネルセプトが子宮内膜症の治療に役立つ可能性が示唆される。
doi:10.1038/nm.2826
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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