Research Press Release
これまでより低い温度でのグラフェン合成
Nature Communications
2012年1月25日
グラフェンの低温合成法が開発された。グラフェンを用いたナノ電子デバイスの作製に新たな可能性が生まれるかもしれない。この研究成果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。グラフェンには、独特な物理的特性があり、エレクトロニクス分野での応用可能性を秘めた非常に有望な材料と考えられている。ところが、グラフェンの広範な利用を阻む難題がある。大面積のグラフェン膜を低コストで作製する方法がないのだ。今回、S-Y Kwonたちは、基板上に炭素を析出させるのではなく、基板の下層に炭素を拡散させることによる新しい作製法を発表した。この方法は、室温付近で使える点が重要で、これは、現行の大面積グラフェン膜の作製法で必要とされる温度よりも相当に低い。 Kwonたちの方法は、金属表面からデバイス用途に適した基板へグラフェンを転写する方法ではないため、将来のグラフェンを用いた電子デバイスを製造する方法にとって重要な意味を持っている可能性がある。
doi:10.1038/ncomms1650
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
環境科学:火山活動が中世ヨーロッパにペストをもたらしたかもしれないCommunications Earth & Environment
-
人工知能:チャットボットは投票意向に影響を与えるかもしれないNature
-
社会科学:不安定なビデオ通話は、会話だけでなくそれ以上のものを損なうNature
-
天文学:衛星による光害が宇宙天文学研究を脅かしているNature
-
素粒子物理学:風変わりなクォーク四重項の定量化Nature
-
動物の行動:病気のアリはコロニーを守るため自ら犠牲となるよう合図するNature Communications
