Research Press Release

がん:世界で予防可能ながんの負担を定量化する

Nature Medicine

2026年2月4日

185カ国における36種類のがんを分析した結果によると、2022年に世界で新たに発生したがん症例の約40%は、修正可能な危険因子に関連しているかもしれないことを報告する論文が、Nature Medicine に掲載される。この知見は、たばこ喫煙、特定の感染症、およびアルコール摂取などの曝露を減らすことが、がん予防において依然として不可欠であることを示唆している。

がんは、世界中で主要な疾病および死因であり、その負担は地域によって異なる。その一因は、人々が異なる修正可能なリスク要因に曝露されていることにある。これには、行動的、環境的、感染性、および職業関連のリスクが含まれ、これらは予防可能な要素である。世界のがん負担がこれらのリスク要因とどう関連するかを理解することは、各国が自国の優先事項に適した予防プログラムを計画するうえで有益である。

Hanna Finkら(国際がん研究機関〔フランス〕)は、30の修正可能なリスク要因に起因する可能性のある世界および各国別のがん負担を推定した。著者らは、2022年の発生率データ(185カ国における36種類のがん)と、約10年前のこれらの曝露頻度を組み合わせた。その後、一部のリスク要因が同時に発生し得ることを認識しつつ、症例数と各リスク要因の関連性を算出した。著者らによると、2022年の新規がん症例1870万件のうち、合計約710万件(37.8%)がこれらの修正可能なリスク要因に起因する可能性があった。内訳は、女性で270万件(29.7%)、男性で430万件(45.4%)である。おもな要因は、たばこ喫煙(15.1%)、感染症(10.2%)、およびアルコール摂取(3.2%)であり、肺がん、胃がん、および子宮頸がんがこれらの予防可能症例のほぼ半数を占めると推定された。

世界中の女性にとって、ヒトパピローマウイルス(HPV:human papillomavirus)やヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)などの感染症が最大のリスク要因であり、症例の11.5%に関連していた。一方、世界中の男性にとって最大のリスク要因は喫煙であり、症例の23.1%に関連していた。著者らはまた、さまざまな地理的傾向を明らかにしている。たとえば、サハラ以南のアフリカの女性は、修正可能なリスク要因に関連するがんの負担が最も高く(症例の38.2%)、北アフリカと西アジアの女性は負担が最も低かった(症例の24.6%)。一方、東アジアの男性ではがん症例の57.2%が修正可能なリスク要因に関連していたのに対し、ラテンアメリカおよびカリブ海の男性では28.1%であった。

この結果は、たばこ規制、感染症予防、および各地域に適した国家戦略など、がん予防の潜在的な機会を明らかにしている。著者らは、データの品質と入手可能性が地域間で大きく異なり、特に低・中所得国ではがんやリスク要因のデータが限られているため、大きな格差があると指摘している。監視体制の強化と詳細なデータの収集が、将来の推定値の精度向上と政策指針の改善に寄与すると結論づけている。

  • Article
  • Published: 03 February 2026

Fink, H., Langselius, O., Vignat, J. et al. Global and regional cancer burden attributable to modifiable risk factors to inform prevention. Nat Med (2026). https://doi.org/10.1038/s41591-026-04219-7
 

doi:10.1038/s41591-026-04219-7

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