Research Press Release

医学:朝の免疫化学療法は肺がんの治療成績を改善するかもしれない

Nature Medicine

2026年2月3日

進行性肺がん患者において、免疫化学療法を15時(午後3時)より前に受けた患者は、それより遅い時間帯に治療を受けた患者よりも疾患進行が遅延することが明らかとなった。Nature Medicine に掲載される210名の参加者を対象とした無作為化第3相試験の一部として発表されたこの知見は、治療を午前中に実施することで、標準治療を強化するための簡便かつコストを要しない手段となり得ることを示唆している。

24時間周期の体内時計である概日リズムが免疫細胞の挙動や治療反応に影響を与えることは知られている。腎がんや悪性黒色腫など、複数のがん種を対象とした過去の後ろ向き研究では、免疫チェックポイント阻害剤を日中の早い時間に投与する方が効果的である可能性が示唆されていた。しかし、こうした予備的知見を検証する前向き無作為化比較試験は不足していた。

Yongchang Zhangら(中南大学〔中国〕)は、未治療の進行性非小細胞肺がん患者210名を対象とした無作為化第3相試験を実施した。患者は、最初の4つのサイクルにおいて、免疫化学療法を15時前に投与するグループ(早期グループ)と15時以降に投与するグループ(後期グループ)に割り振られた。中央値約28.7ヶ月の追跡後、早期群では平均11.3ヶ月間がん悪化(無増悪生存期間)が認められなかったのに対し、後期群では5.7ヶ月であった。全生存期間の中央値は、早期群で28.0ヶ月、後期群で16.8ヶ月であった。治療反応率は、早期群で69.5%、後期群で56.2%であり、免疫関連有害事象に有意差は認められなかった。さらに詳細な分析により、早期群では後期群より血液中を循環するCD8⁺ T細胞(Cluster of differentiation 8–positive;免疫細胞の一種)が多く、活性化CD8⁺ T細胞と疲弊CD8⁺ T細胞の比率が高いことが観察され、この違いが早期群における治療効果の高さの説明となる可能性が示された。

著者らは、長期生存転帰を確定するにはさらなる研究が必要であると指摘している。本研究のおもな限界は、患者集団が中国に限定されている点である。また、概日リズムと患者における治療効果を結びつけるメカニズムについても、さらなる調査が必要である。

  • Article
  • Published: 02 February 2026

Huang, Z., Zeng, L., Ruan, Z. et al. Time-of-day immunochemotherapy in nonsmall cell lung cancer: a randomized phase 3 trial. Nat Med (2026). https://doi.org/10.1038/s41591-025-04181-w
 

doi:10.1038/s41591-025-04181-w

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度