音楽:1973年以降、人気楽曲の歌詞はよりネガティブになっている
Scientific Reports
2025年12月12日
過去 50 年間に、米国の人気楽曲の歌詞はより単純になり、よりネガティブになり、ストレスに関連する単語が多く含まれるようになった分析を報告する論文が、オープンアクセスジャーナルScientific Reports に掲載される。著者らは、この発見は、人々がストレスに対処するために音楽を利用している複雑な方法を反映していると示唆している。
Maurício Martinsら(ウィーン大学〔オーストリア〕)は、ビルボード・ホット100チャートにもとづき、1973年から2023年までの毎週、米国で最も人気のある英語の歌トップ100(20,186曲)の歌詞を分析した。著者らは、一般的に、人気楽曲の歌詞は時間の経過とともに単純化され、よりネガティブになり、ストレスに関連する単語が多く含まれるようになったことを発見した。この傾向は、以前に発表された研究で報告されている、うつ病や不安の発生率の増加、およびニュースメディアや小説のネガティブさの増加と一致していると著者らは指摘している。しかし、著者らはまた、2016年以降、より複雑な歌詞の曲の人気が高まり始めたことを発見し、その理由を調査するにはさらなる研究が必要であると示唆している。
聴衆の歌詞嗜好の変化に影響を与える要因を評価した際、著者らは1973年以降の世帯収入中央値の変化との関連性は確認できなかったものの、2001年9月11日の同時多発テロやCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)パンデミックの発生といった大きなストレス事象との関連性を特定した。これらの事象は、歌詞がより複雑でポジティブになり、ストレスに関連する言葉が減る傾向、あるいは歌詞に有意な変化が見られない傾向と関連していた。著者らは、ストレスの多い時期にはより前向きで複雑な音楽が現実逃避の手段として利用されるためだと推測している。
著者らによると、この発見は音楽が時間の経過とともに気分を形成し、反映する役割を明らかにしている。
- Article
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- Published: 11 December 2025
Foramitti, M., Nater, U.M., Lamm, C. et al. Societal crises disrupt long-term increases in stress, negativity, and simplicity in US Billboard song lyrics from 1973 to 2023. Sci Rep 15, 41733 (2025). https://doi.org/10.1038/s41598-025-28327-5
doi:10.1038/s41598-025-28327-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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