生態学:一部の石サンゴが気候変動を生き延びる可能性
Nature
2025年10月23日
一部の古代の石サンゴ(stony corals)は、極端な環境変化を生き延びており、これは現代の種の一部が気候変動の影響に対してある程度の耐性を有している可能性を示唆していることを報告する論文が、Nature に掲載される。
石サンゴは、多くの海洋生態系の骨格として極めて重要であるが、近年では地球規模の気候変動による環境変化の脅威にさらされている。これらの種の歴史と、過去の長期的な温度変化にどう耐えたかを理解することは、これらの重要なシステムをさらなる損傷から守る取り組みに役立つ可能性がある。しかし、その系統発生史(進化の系統樹)はまだ包括的に解明されていない。
Claudia Vagaら(スミソニアン研究所〔米国〕)は、274種の石サンゴ(現存種の約16%に相当)のゲノムを部分的に解読し、この目の進化系統樹を再構築した。著者らは、サンゴの最も近い共通祖先は約4億6,000万年前に遡ると推定した。この祖先は、おそらく従属栄養生物(自ら食物を生産できない)であり、浅海と深海の両方で生息可能だった。この解析から、後期のサンゴ種の一部が光合成藻類と共生(相互利益)関係を築き、約3億年前にこの目(サンゴ目)のさらなる多様化を促したことが示唆される。しかし、化石記録によると、これらの共生種の多くは、1億8,000万年前に起きた大規模な海洋無酸素化(酸素枯渇)イベントで絶滅し、その後1億2,000万年から9,000万年前にかけて発生した2つの主要な無酸素化イベントを経て初めて再び多様化した。これは環境変化に対する脆弱性を示している。対照的に、一部の非共生性石サンゴ種はこれらの期間を通じて深海で存続し、さらに多様化した種さえ存在した。著者らは、これが異なる深度への移動の自由と、エネルギー変換のための柔軟な基質選択による可能性を示唆している。
非共生性石サンゴ種の一部が過去の有害事象を生き延び、さらには繁栄した事実から、これらの種は気候やその他の環境変化に直面しても存続し得る可能性がある、と著者らは結論づけている。
- Article
- Published: 22 October 2025
Vaga, C.F., Quattrini, A.M., Galvão de Lossio e Seiblitz, I. et al. A global coral phylogeny reveals resilience and vulnerability through deep time. Nature (2025). https://doi.org/10.1038/s41586-025-09615-6
doi:10.1038/s41586-025-09615-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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