古生物学:最古のアンキロサウルスに見られる極端な装甲
Nature
2025年8月28日
最古のアンキロサウルス類(ankylosaurs)は、尾に棘状の装飾を含む独特で精巧な体甲を備えていたことを報告する論文が、Nature に掲載される。これらの極端な体甲の特徴は、他のどの脊椎動物とも異なり、進化の過程で後に出現した他のアンキロサウルス類とも異なる。モロッコの中期ジュラ紀(約1億6,500万年前)の化石の分析は、アンキロサウルス類の尾の武器と体甲の進化に関する新たな知見を提供している。
アンキロサウルス類は、主に北米とアジアの白亜紀(1億4,300万–6,600万年前)から知られる装甲恐竜の一群である。その初期の進化は、この時代の化石記録が不十分であるため、不明な点が多い。モロッコから発見された中期ジュラ紀の化石は、最古のアンキロサウルスとしてSpicomellus aferと命名されたが、標本は部分的な肋骨のみであり、初期のアンキロサウルス類の体形を確定するのは困難であった。
モロッコのアトラス山脈(Atlas Mountains)で、元の標本と同じ地層から発見されたSpicomellusの新しい部分的な骨格が、Susannah Maidmentら(自然史博物館〔英国〕)によって報告された。新しい標本は、アンキロサウルス類への近縁性を確認し、精巧な皮膚装甲を明らかにしている。骨格には、上部に棘が付いた6本の肋骨、および板状の骨と2対の棘(そのうち1本はほぼ完全な状態で87センチメートルの長さ)からなる骨の首輪、および長短の棘を有する骨盤シールドが含まれる。尾の骨の特異な構造は、武器的な尾の存在を示唆している。
Maidmentらは、Spicomellusに見られる特徴が、見た目と防御の両方の目的で進化した可能性を指摘している。後期のアンキロサウルス類はより単純かつ控えめな体甲を持ち、防御的機能への特化が進んだことを示唆するかもしれない、と著者らは提案している。最後に、この標本における武器としての尾の証拠は、本標本に武器としての尾の証拠が存在することは、この種の適応がこれまで考えられていたよりも約3,000万年前に出現していたことを示していると、著者らは結論づけている。
- Article
- Published: 27 August 2025
Maidment, S.C.R., Ouarhache, D., Ech-charay, K. et al. Extreme armour in the world’s oldest ankylosaur. Nature (2025). https://doi.org/10.1038/s41586-025-09453-6
doi:10.1038/s41586-025-09453-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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