テクノロジー:ブレスレットが手ぶりをコンピューターのコマンドに変換する
Nature
2025年7月24日
手首に装着することで、手書きのような手ぶりで人間がコンピューターと相互作用できるデバイスを報告する論文が、Nature にオープンアクセスで掲載される。このデバイスは、手首の筋肉の動きによって生成される電気信号を、個別のキャリブレーション(調整)や侵襲的な処置を必要とせずに、コンピューターのコマンドに変換することができる。この発見は、人間とコンピューター間の相互作用を、よりシームレスに、そして大規模に利用しやすくするのに役立つかもしれない。
コンピューターやスマートフォンなど、人間がテクノロジーと相互作用する従来の方法では、キーボードやマウス、およびタッチスクリーンなどの入力デバイスを使って直接接触する必要がある。このような相互作用は、特に外出先での使用において制約となる場合がある。
Patrick KaifoshとThomas Reardonが率いるMeta(メタ社〔米国〕)のReality Labsのチームは、数千人の参加者から得たトレーニングデータを用いて、手首の筋肉から電気信号を検出し、それをコンピューター信号に変換できる高感度リストバンドを設計した。その後、著者らはディープラーニングを用いて、個々の調整を必要とせず、さまざまな人のユーザー入力を正確に解釈する汎用的なデコーディングモデルを作成した。他のディープラーニング領域と一致して、デコーディングモデルの性能はべき乗則スケーリングを示し、より大きなモデル設計構造とより多くのデータによって向上した。著者らは、特定の個人のデータを用いてパーソナライズすることで、性能がさらに向上することを示した。スケーリングとパーソナライゼーションの結果を合わせると、多くの用途に対応する高性能バイオシグナルデコーダーを構築するための指針となる。
Bluetoothレシーバーを使ってコンピューターと通信するこのデバイスは、手ぶりをリアルタイムで認識し、幅広いコンピューターとの相互作用を実現するための労力の少ないコントロールの作成を可能にする。このコントロールを使って、仮想ナビゲーションや選択タスク、さらに手書きで毎分20.9語(携帯電話のキーボード入力速度の平均は毎分約36語)のテキスト入力を行った。
著者らは、この神経運動リストバンドがさまざまな身体的特性を持つ人々に対し、装着可能なコンピューターコミュニケーションの方法を提供することを示唆している。神経運動インターフェイスは、運動機能の低下、筋力低下、指の切断、および麻痺などを持つ人たちのコンピューターとの相互作用の改善など、この技術のアクセシビリティーへの応用を探る今後の研究に適している。より広範なコミュニティーにおけるsEMG(surface electromyography;表面筋電図)とsEMGモデリングの研究を加速させるため、Reality Labsチームは、発表された3つのタスクすべてにわたる300人の参加者の100時間を超えるsEMG記録を含むリポジトリーを一般に公開している。
- Article
- Open access
- Published: 23 July 2025
Kaifosh, P., Reardon, T.R. & CTRL-labs at Reality Labs. A generic non-invasive neuromotor interface for human-computer interaction. Nature (2025). https://doi.org/10.1038/s41586-025-09255-w
doi:10.1038/s41586-025-09255-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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