地球科学:地球の内核の変化を検出
Nature Geoscience
2025年2月11日
地球の内核は、過去20年間に形状の変化を経験した可能性があることを報告する論文が、Nature Geoscience に掲載される。これらの変化は、内核表面付近に局所的に見られるもので、その性質や構造に関する理解を深める可能性があると、著者らは示唆している。
地球の固体内核は、液体の外核における対流の主な要因が内核の成長であることから、地球の磁場の維持に重要な役割を果たしていると考えられている。これまでの研究では、内核は回転または形状の変化を時を経て経験してきたが、同時に両方の変化を経験したことはないということが提案されていた。最近の研究では、内核を通過した後に記録された繰り返し地震による地震波を分析した結果、2010年頃に内核が地球の他の部分よりも速く回転していたのが遅く回転するようになったことが示された。
John Vidaleらは、2010年以前と以後に発生した168組の繰り返し地震による地震波を調査した。そのうちのいくつかは、内核が同じ位置に戻ったときに発生したもので、各組の地震波に違いがあるとしても、それは回転速度の違いによるものではない。著者らは、内核を横断する地震のペアによって発生する地震波の特性は一致しているが、内核をかすめるだけの地震の波の特性は異なっていることを発見した。これは、内核の形状が時間とともに変化したことによるものであると主張している。
著者らは、このプロセスは、おそらく最下部マントルにおける密度異常による引力、または外核における対流による抵抗の結果であると示唆しているが、より明確な説明を提供するにはさらなる調査が必要であると指摘している。
- Article
- Published: 10 February 2025
Vidale, J.E., Wang, W., Wang, R. et al. Annual-scale variability in both the rotation rate and near surface of Earth’s inner core. Nat. Geosci. (2025). https://doi.org/10.1038/s41561-025-01642-2
doi:10.1038/s41561-025-01642-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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