Research Press Release
抗結核薬への耐性
Nature Genetics
2011年12月19日
薬剤耐性結核菌株における補償的変異の進化について報告する論文が、Nature Geneticsで発表される。この研究成果は、現在、世界的に流行している薬剤耐性結核の進化と拡大において補償的変異が重要な役割を果たすことを示唆している。 今回、S Gagneuxたちは、10人の結核患者から分離された臨床的結核菌株の全ゲノム塩基配列解読を行った。これらの菌株には、各患者から分離されたリファンピシン耐性株とリファンピシン感受性株が含まれている。また、Gagneuxたちは、リファンピシン耐性を持つ結核菌株を実験的に進化させて、塩基配列解読を行った。こうして実験的に進化させた耐性菌株のすべてにおいて、rpoB遺伝子の変異があった。これは、リファンピシン耐性をもたらすことが知られている。そして、Gagneuxたちは、適応度の増加に関連するrpoA、rpoC両遺伝子において、補償的変異の進化を同定した。こうした補償的変異は、実験室での進化研究に加えて、世界中の臨床現場と多剤耐性(MDR)結核の流行において高い頻度で見られる。
doi:10.1038/ng.1038
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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