持続可能性:15分都市を見つけるためのウェブツール
Nature Cities
2024年9月17日
現在、「15分都市」の定義を満たす世界の都市は、ほんの一部しか存在しないことを報告する論文が、Nature Citiesに掲載される。既存の都市の多くが15分都市になるためには、既存のサービスや設備の大規模な移転、あるいは非現実的な数の新規設備の追加が必要となる。この調査結果は、世界都市をマッピングし、それらが15分都市のコンセプトにどれだけ近いかを示したウェブベースのプラットフォームに基づいている。
15分都市のコンセプトは、公共交通機関を利用して15分以内に生活に必要なサービスや主要な施設を利用できる都市は、より効率的、公平かつ環境に配慮した都市として機能できるという考えに基づいている。しかし、都市圏を15分都市に移行させることは困難な課題であり、効率的な都市計画、交通機関の改革、そして質の高い生活に必要なサービスや資源の提供が求められる。世界の一部の都市では、15分都市の理念に関心が寄せられているが、都市がどれほど15分都市に近づいているかを評価する簡単な方法はこれまで存在していない。
Matteo Brunoらは、世界中の都市がどれほど15分都市に近づいているかを測るために、オープンソースパッケージのGeoPandasとOpenStreetMapのデータを使用したウェブベースのオープンアクセスプラットフォームを作成した。このツールは、都市の中心部、近隣地域、および周辺地域と、都市全体にわたる重要なサービスや施設との平均的な近さを報告する。研究者は、15分都市が現在どの程度広まっているかを定量化した。約10,000都市の分析を行ったところ、Brunoらは、生活に必要なサービス施設から15分以内の距離に住む人口の割合にかなりのばらつきがあることを発見した。著者らは、これらのサービスを屋外活動、学習、物資、食事、移動、文化活動、運動、サービス、および医療の9つのカテゴリーに分類している。著者らは、このばらつきは都市の文化(例えば、その都市がどの程度自動車に依存しているか)に依存しており、都市の中心部は周辺部よりもサービスが充実していると指摘している。これは、フランスのパリ、ジョージア州のアトランタ、日本の東京など、多くの都市に共通している。
著者らは、このツールと分析にオープンデータを使用することによって、十分な情報が得られない地域が除外されるなど、一定の偏りが生じる可能性があると指摘している。また、現在の15分都市の状況に関する今後の研究では、市民と興味の対象となる地点との間の実質的な距離を測る上で、気候の変化や都市間の文化の違いも考慮する必要があると結論づけている。
Bruno, M., Monteiro Melo, H.P., Campanelli, B. et al. A universal framework for inclusive 15-minute cities. Nat Cities (2024). https://doi.org/10.1038/s44284-024-00119-4
doi:10.1038/s44284-024-00119-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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