Research Press Release

マラリアに対するT細胞の機能を増強

Nature Immunology

2011年12月12日

マラリアを引き起こす病原体に対する免疫応答を強化する方法の報告が寄せられている。 マラリア原虫Plasmodiaはマラリアの原因となる血液感染性の寄生虫で、これに対する免疫応答にはCD4+ T細胞の機能が不可欠である。しかし、この免疫細胞の能力は、慢性感染の間に低下する。 J Hartyたちは、熱帯熱マラリア原虫P. falciparumに風土性感染した小児に、T細胞の機能を抑制するT細胞阻害性受容体PD-1を発現するT細胞が見られることを明らかにした。同様に、類似のマラリア原虫の一種であるP. yoeliiを実験感染させたマウスのCD4+ T細胞でも、PD-1や類似の阻害性分子LAG-3の発現が亢進していた。感染したマウスにLAG-3やPD-1のリガンドを阻害するように設計したモノクローナル抗体を投与すると、T細胞の機能が回復し、血中の原虫が激減した。この結果が示すように、T細胞阻害性受容体の遮断という方法が、ヒトのマラリア患者にとっても同様に有効な可能性がある。

doi:10.1038/ni.2180

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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