Research Press Release
薬剤の組み合わせによる新たな化学療法
Nature Communications
2011年7月20日
2種類の化学療法剤の組み合わせによって、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞の増殖を抑制できることが、マウスモデルと患者の培養細胞を用いた研究で明らかになった。この結果は、この併用療法が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者の治療に役立つ可能性を示唆している。詳細を報告する論文は、今週、Nature Communicationsに掲載される。
今回、R Gartenhausたちは、ヒトのびまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞において、DNA損傷にかかわるChk2タンパク質の発現上昇を検出し、このことがERK1/2タンパク質の発現と相関していることを見いだした。そして、マウスモデルにおいてChk2とERK1/2をそれぞれ標的とする阻害剤を用いた実験を行い、これらの阻害剤を併用してヒト原発がん細胞を処理すると、がん細胞死が誘導され、これらの阻害剤が腫瘍の増殖を抑制することを見いだした。このことは、この2種類の阻害剤を併用する治療法が、1種類の阻害剤による治療法より効果的であることを示している。 以上の研究成果は、この併用療法が、臨床において、びまん性B細胞リンパ腫を狙い撃ちする有用な方法であることを示唆している。
doi:10.1038/ncomms1404
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
考古学:古代のゲノムからアバール人コミュニティーの社会組織と権力の再編が明らかになったNature
-
天体物理学:マグネターの巨大フレアという珍しい現象が観測されたNature
-
創薬:脳オルガノイドを使って神経発達障害の治療法を検証するNature
-
医学:実験室で培養された「ミニ結腸」をがん研究に用いるNature
-
遺伝学:鳥の歌のリズムを調べるNature Communications
-
心理学:画像の特徴は時間の経過の感じ方に影響を及ぼす可能性があるNature Human Behaviour