Research Press Release
Polo様キナーゼ-1阻害剤の安全性がマウスで実証
Nature Communications
2011年7月20日
Polo様キナーゼ-1の濃度低下が、マウスの生理機能に大きな影響を及ぼさないことが判明した。この知見は、Polo様キナーゼ-1を標的とする抗がん剤が、正常な細胞を損なうことなく、腫瘍細胞を死滅させられる可能性を示唆している。研究の詳細を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。
K Strebhardtたちは、遺伝子組み換えマウスモデルを作製して、Polo様キナーゼ-1の濃度低下が正常なマウスの生理機能にどのような影響を及ぼすのかを調べた。その結果、わずかな鉄欠乏はあったが、各種臓器に対する大きな影響は見られなかった。この知見からは、現在入手可能なPolo様キナーゼ-1を標的とする抗がん剤を用いて、腫瘍細胞を選択的に死滅させられる可能性が示唆されている。また、Strebhardtたちは、この種の遺伝子組み換えマウスモデルを用いて、マウスにおける抗がん剤の毒性を予測できることも実証した。
doi:10.1038/ncomms1395
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
環境科学:火山活動が中世ヨーロッパにペストをもたらしたかもしれないCommunications Earth & Environment
-
人工知能:チャットボットは投票意向に影響を与えるかもしれないNature
-
社会科学:不安定なビデオ通話は、会話だけでなくそれ以上のものを損なうNature
-
天文学:衛星による光害が宇宙天文学研究を脅かしているNature
-
素粒子物理学:風変わりなクォーク四重項の定量化Nature
-
動物の行動:病気のアリはコロニーを守るため自ら犠牲となるよう合図するNature Communications
