進化学:卵の殻の化石がエレファントバードの知られざる系統を探り出す
Nature Communications
2023年3月1日
絶滅した鳥類種の1つでマダガスカルに生息していたエレファントバードに関する新たな知見が、1000年以上前の卵殻化石のDNA解析によって得られたことを報告する論文が、Nature Communicationsに掲載される。この研究知見によって、マダガスカルにおけるエレファントバードの進化と分布に関する理解が深まり、これまで知られていなかったエレファントバードの系統の可能性が示唆された。
エレファントバードは、空を飛べない大型鳥類種で、マダガスカル島に人間が上陸した約1000年前に絶滅した。わずかな数の骨が見つかっており、エレファントバードが4種の鳥類種によって構成されていたことが示唆されているが、この分類群の進化史は不明のままだ。研究対象となる動物の骨格化石の数が少ない場合、卵殻中に保存された古代DNAの解析が関連情報を得るための有力な手段であることが知られている。例えば、以前の研究では、古代DNA解析によってエレファントバードとキーウィが近縁関係にあったことが裏付けられている。
今回、Alicia Grealyたちは、マダガスカル全土の291カ所で発見されたエレファントバードの卵の殻の破片(960個)を解析した。これらの卵の殻は6190~1290年前のもので、エレファントバードが生息していた時代と一致する。そして、卵の殻の厚さの測定に基づいて、卵の重さは0.86~10.47キログラム、卵を産んだ鳥の体重は41~1000キログラムと推定された。また、DNA解析によって、マダガスカル南部のエレファントバードは遺伝的多様性が低く、骨格化石を用いた推定結果より種数が少ないことが判明した。その一方で、Grealyたちは、エレファントバードのこれまで知られていなかった系統がマダガスカル北部に生息していた可能性があるという考えを示している。ただし、この「新」系統の骨格遺物は見つかっていない。
今回の知見は、卵殻に重要な情報が保存されることを実証し、エレファントバードの進化の複雑さを浮き彫りにしている。
doi:10.1038/s41467-023-36405-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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