Research Press Release
体細胞の再プログラム化を妨げるRNA
Nature Cell Biology
2011年10月24日
miR-34と呼ばれる低分子RNAが、多能性に関連する遺伝子の活性化を妨げることが報告された。この研究ではまた、miR-34の作用を阻害すれば再プログラム化の効率が上がる可能性が示唆されている。
受精卵が発生を続けて生物になる際には、多能性幹細胞は肺細胞、血液細胞や神経系の細胞などのさまざまな種類の細胞に分化する。実験的には、多能性に関連する遺伝子のうちの特定のものを組み合わせてこのような分化した細胞で発現させてやれば、分化した細胞を多能性状態に戻すことが可能で、この過程は再プログラム化と呼ばれている。腫瘍形成を抑制するタンパク質の1つであるp53は以前に、分化した細胞が多能性状態に戻る能力を抑制することが明らかになっている。L Heたちは、p53がmiR-34の発現を誘導することを見いだした。さらに、miR-34をコードしている遺伝子配列を欠失させると再プログラム化の効率が上昇し、再プログラム化された細胞の多能性状態あるいは増殖状態に障害はないことが示された。
これらの知見は、研究用の幹細胞を実験的作製能力に関係してきそうだ。
doi:10.1038/ncb2366
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物学:チンパンジーはアンドロイドからのあくびがうつることがあるScientific Reports
-
気候変動:干ばつの深刻化を招く要因の評価Nature
-
生物学:母親の鉄欠乏がマウスの雄の性決定に影響を及ぼすNature
-
気候:海と大気の相互作用が2023年の北大西洋熱波をもたらしたNature
-
天文学:天の川銀河はアンドロメダ銀河との衝突を回避できるかもしれないNature Astronomy
-
生体医工学:AIペンが筆跡からパーキンソン病を検出Nature Chemical Engineering