Research Press Release
組み換えスメグマ菌を用いた新しい結核菌ワクチンのプラットフォーム
Nature Medicine
2011年9月5日
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)由来の遺伝子にコードされた分泌系を発現する組み換えスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)には結核菌感染に対する強力な予防効果があることが、マウスの実験で判明した。この研究成果は、結核菌ワクチン候補の開発のための新たな有用な手段につながる可能性がある。 esx-3遺伝子クラスターの座位は、結核菌の生存に必須だが、M. smegmatisの生存には必須でない。今回、W Jacobs, Jr.たちは、結核菌のesx-3遺伝子が、M. smegmatisの類似の遺伝子に取って代わることができ、その結果、M. smegmatisのハイブリッド(あるいは新しい菌株)を注射されたマウスにおいて、防御能を持つCD4+T細胞の増殖が誘発されることを明らかにした。その後の結核菌感染に対するCD4+T細胞依存性の免疫は、現在使われている唯一の結核菌ワクチンであるBCGによって誘導される免疫と同等かそれ以上の強さだった。ただし、Jacobs, Jr.たちは、マウスにおける結核菌の活発な除去を誘発できるワクチン株がM. smegmatisのesx-3遺伝子座の組換えによって生成される機構を解明するには、さらなる研究が必要なことも指摘している。
doi:10.1038/nm.2420
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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