工学:これまでの記録を塗り替えた新しい跳躍ロボット
Nature
2022年4月28日
体長の100倍以上に相当する、高さ30メートル以上まで飛び上がれるロボットについて報告する論文が、Nature に掲載される。このロボットは、これまでに報告された人工的な跳躍装置や最も高く飛び上がれる生物よりも跳躍能力が高い。今回の知見は、跳躍ロボットの利用法を変える可能性があり、工学的に作製された跳躍のパフォーマンスが新たなレベルに達したことを実証している。
ここ数十年間にエンジニアたちが設計してきた跳躍装置は、跳躍する生物の模倣であったり、そうした生物から着想した装置であったりすることが多かった。動物が跳躍する高さの最大値は、その筋肉が1回の動作で生み出す仕事量に制約される。これに対して、ラチェットモーターや回転モーターのようにストロークや回転が繰り返されるとエネルギーが貯蔵されるモーターを使用した工学的装置は、はるかに高く跳躍できる。
今回、Elliot Hawkesたちは、高さ約30センチメートル、重さ30グラムで、32.9メートルの高さまでジャンプできる特殊な工学的ロボットを設計し、作製した。このロボットは、仕事量を増やすための回転モーターと、システム内でのエネルギー蓄積を可能にするために特別に選ばれたばねとゴムバンドで構成されている。Hawkesたちは、今回の知見は、移動手段としての跳躍の意味合いを変え、跳躍の利用方法や利用場所を変えるものであると述べている。跳躍ロボットを利用すれば、地球上では、これまで飛行ロボットだけが回避できた障害物を克服して、地下の画像を収集できるかもしれない。また、跳躍ロボットが、表面重力が地球より弱い月でジャンプすれば、125メートルの高さに達し、1回の跳躍で約0.5キロメートル移動できる可能性があり、地形の探索的調査に役立つかもしれない。
doi:10.1038/s41586-022-04606-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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