生態学:絶滅した生態系を餌とする北極の海綿動物群集
Nature Communications
2022年2月9日
北極海中央部で、絶滅した動物群集が残した化石を餌にして生き延びている高密度の海綿動物群集が発見されたことを報告する論文が、Nature Communications に掲載される。今回の知見は、あまり研究されていない北極域に存在するユニークな生態系と、北極域での食物源を利用するための戦略を明らかにしている。
北極海中央部は、1年を通じて氷に覆われているため、最も探査されていない生態系の1つとなっている。Antje Boetiusたちは、この地域を探査して、かつての火山性海山を覆っている未知の大規模な海綿動物群集を発見した。Boetiusたちは、氷に覆われた非常に到達しにくい環境を調査するために海洋底観測海底測深システム(曳航カメラ/ソナーシステム)を構築した。氷に覆われた地域は、栄養素が極めて少なく、大型の海綿動物群集を支える食物源が何なのかは分からなかった。
今回、Teresa Morgantiたちは、海綿動物の画像解析と組織試料を用いて、海綿動物種を特定し、その年齢と食物源を評価した。海綿動物は、平均300歳で、その体内に大量の細菌群集が存在していた。これらの海綿動物は、数千年前にこの場所での火山活動に依存していた、現在は絶滅した動物群集の遺骸の上で見つかった。Morgantiたちは、海綿動物が、これらの化石化した遺骸を食物源として使用しており、酵素を使って化石を分解して宿主の海綿動物に栄養素を供給する細菌に助けられているという考えを示している。
Morgantiたちは、海氷面積が急速に減少していることから、これらの生態系を理解することは、北極域のユニークな生物多様性を保護し、管理するために必須だと主張している。
doi:10.1038/s41467-022-28129-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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