健康:熱帯地方の小児の栄養失調にエルニーニョが関係している
Nature Communications
2021年10月13日
エルニーニョ/南方振動(ENSO)が熱帯の多くの国々で、小児の栄養状態に影響している可能性を示唆する新たな論文が、Nature Communications に掲載される。今回の知見は、ENSO現象の発生中に小児の栄養失調を予防するための的を絞った取り組みが必要なことを示している。
ENSOは、世界中の気象条件に影響を及ぼす気候系の重要な要素で、特に熱帯の国々で農業生産高に影響を及ぼすことがよく知られている。しかし、こうした変化がヒトの健康に及ぼす影響の程度は、十分に解明されておらず、定量化されていない。
今回、Jesse Anttila-Hughes、Amir Jina、Gordon McCordは、ENSOの変動の観測結果と1986~2018年に51か国の130万人の小児を対象に行われた人口調査と健康調査のデータを併用して、調査対象国の大部分で、エルニーニョ現象の発生とその発生年の小児の対年齢体重スコアが平均以下であることが関連していることを明らかにした。この関連は、主にエルニーニョの発生によって降水量が不足する国で見られ、逆のパターンはエルニーニョ現象時に降水量が増加する少数の国々で見られる。著者たちは、小児の低体重は回復するが、影響を受けた小児の身長の伸び悩みは何年か経ってから観察される場合のあることを明らかにし、研究期間を通じて、この関係に有意な変化がなかったことを観察し、多くの国々で、経済状況が改善してもENSOの影響は軽減されていないことを示した。
著者たちは、熱帯の多くの国々で、ENSOが小児の栄養失調の予測因子になっていると考えられ、小児の健康への影響を低減するために的を絞った対策が必要だと結論付けている。
doi:10.1038/s41467-021-26048-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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