Research Press Release
絶滅危惧種の人工多能性幹細胞
Nature Methods
2011年9月5日
ドリル(silver-maned drill monkey)およびキタシロサイという2種の絶滅危惧種の人工多能性幹細胞が、Nature Methods(電子版)の論文で発表される。絶滅危惧種のiPS細胞は、希少動物の生物学的研究に使用する材料の供給源になると考えられる。
iPS細胞は、ヒト疾患モデルの作製、場合によっては最終的な治療法に関して、多大な期待を生み出した。しかし、この技術はほかの用途でも有用と考えられる。例えば、絶滅危惧種のiPS細胞は、そうした種の基礎的な研究、疾患モデルの作製、および場合によっては保護活動に有用である可能性がある。
J Loringたちは、ドリルおよびキタシロサイからiPS細胞を作製したことを発表している。キタシロサイは絶滅が間近で、現在生存が確認されている個体は8頭のみである。この論文は、iPS細胞技術を種の保存に応用するための第一歩であるが、その活動は、人工的な生殖に用いる機能性の配偶子を幹細胞から効率的に作製する方法を含め、多くの課題に直面している。
doi:10.1038/nmeth.1706
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
遺伝学:ブチハイエナの遺伝的特徴に社会的地位が反映されていたCommunications Biology
-
環境:コロラド川の水の半分以上は農地の灌漑に使用されているCommunications Earth & Environment
-
加齢:老齢マウスに「若々しい」免疫系を取り戻させるNature
-
気候変動:極域の氷融解が世界の基準時刻に影響を及ぼす可能性Nature
-
生態学:温暖化と乾燥によってハチ類の多様性が脅かされているNature
-
機械学習:ベルギービールの風味を高めるNature Communications