遺伝学:早期発症型ALSの原因遺伝子が見つかる
Nature Medicine
2021年6月1日
重度の早期発症型筋萎縮性側索硬化症(ALS)の小児で、SPTLC1遺伝子にまれな変異が存在することが示された。この遺伝子は、スフィンゴ脂質と呼ばれる種類の脂質の産生に関わる重要な代謝分子をコードしている。この臨床試験で得られた知見によって、単一の遺伝子変異が早期発症型ALSの原因となることが判明し、また代謝に関連する新規な分子経路が明らかになった。この経路は、他の神経変性疾患にも関わっている可能性がある。
ALSは進行性の神経変性疾患で、発症から3~5年で死に至ることが多い。ほとんどの症例は孤発性で、ALSの重要なドライバー遺伝子に関する重要な手掛かりは臨床研究から得られており、病気に直接結び付く単一遺伝子変異が複数見つかっている。
C Bönnemannたちは、7つの家系に属する重度の早期発症型ALS患者9人のゲノム塩基配列を解読し、脂質代謝に関わる酵素の構成成分をコードする単一の遺伝子SPTLC1に、まれな一群の変異があることを突き止めた。そして、ALSの原因となるこれらの新しく見つかった変異によって、スフィンゴ脂質の産生が抑制されなくなって、ヒトの運動ニューロン(ALSで特異的に変性するタイプのニューロン)中に蓄積することが、実験により明らかになった。
この臨床研究によって、悪性の初期発症型ALSの原因となるまれな単一遺伝子変異群が新たに明らかになったのに加えて、代謝の乱れがALS発症を引き起こす直接の要因であることが示唆された。
doi:10.1038/s41591-021-01346-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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