画像化:折り畳まれたルネサンス期の封書をバーチャルに広げて読む
Nature Communications
2021年3月3日
ルネサンス期のヨーロッパの封書の内容を、計算機的手法を用いて開かずに読むことに初めて成功したと報告する論文が、今週、Nature Communications に掲載される。今回の研究は、過去の通信セキュリティーの解明に寄与する可能性がある。
現代の封筒が使用されるまで、入り組んだ方法で手紙を折り畳むこと(レターロッキングとして知られる)が安全なコミュニケーションのための一般的な慣習だった。これまでは、こうした封書を切って開かなければ、研究することも中身を読むこともできなかったため、歴史的文書を毀損することが多かった。
今回、Jana Dambrogio、Amanda Ghassaeiたちの研究チームは、自動計算アルゴリズムを開発することによって、ブリエンヌコレクション(1680~1706年にヨーロッパ全土からハーグに送られたが、配達されなかった手紙の入った郵便局長のトランク)に現存する封書をバーチャルに開いて、内容を読むことに成功した。中には、300年間も開封されていない封書も含まれていた。Dambrogioたちはまず、X線マイクロトモグラフィーを用いて封書をスキャンし、3D再構成を行った。次に、自動計算アルゴリズムが、折り畳まれた封書のそれぞれの層を識別して、分離した。インクの大部分は紙に書かれたものとは異なるコントラストを示すため、封書の内容が見えるようになった。この仮想展開アルゴリズムを使うことで、未開封の封書を読むだけでなく、折り目パターンを視覚化し、レターロッキングの過程を順を追って再現することが可能になった。
Dambrogioたちは、この仮想展開法と折り畳み技術のカテゴリー化は、研究者たちが文化遺産を保全しつつ、こうした過去の物理的暗号を解明しようとするのに役立つという考えを示している。
doi:10.1038/s41467-021-21326-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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