Research Press Release
炎症を起こした皮膚からの動員シグナル
Nature Immunology
2011年1月10日
慢性の炎症を起こした皮膚へと免疫細胞を動員するシグナルが、マウスで同定された。この研究が、皮膚炎をはじめ、よくみられる皮膚アレルギーの治療法開発に結びつくかもしれない。
皮膚アレルギーの中には、T細胞と好酸球という2種類の白血球の流入を特徴とするものがある。A Lusterたちは、アレルゲンによって炎症を起こした皮膚で生産されるCCL8とよばれるタンパク質がCCL8を認識する受容体CCR8を発現する白血球細胞を引き寄せると、慢性型の皮膚炎が生じることを明らかにした。このCCR8発現T細胞は大量のインターロイキン5(IL-5)分子を生産し、これが好酸球を動員してアレルギー性の炎症を悪化させる。CCL8かCCR8どちらかをもたないマウスでは、好酸球の浸潤がはるかに少なく、皮膚炎の程度も軽いことが判明した。
また、ヒトでもCCR8+T細胞が増えてIL-5を発現していることがわかった。CCR8の機能の阻害が、皮膚アレルギー患者を救う有効な手段になるかもしれない。
doi:10.1038/ni.1984
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
遺伝学:ブチハイエナの遺伝的特徴に社会的地位が反映されていたCommunications Biology
-
環境:コロラド川の水の半分以上は農地の灌漑に使用されているCommunications Earth & Environment
-
加齢:老齢マウスに「若々しい」免疫系を取り戻させるNature
-
気候変動:極域の氷融解が世界の基準時刻に影響を及ぼす可能性Nature
-
生態学:温暖化と乾燥によってハチ類の多様性が脅かされているNature
-
機械学習:ベルギービールの風味を高めるNature Communications