Research Press Release
折り紙を広げるように開く種子鞘
Nature Communications
2011年6月8日
アイスプラント(ハマミズナ科の植物)の種子鞘が開く動きは、折られた折り紙を広げる時のような高度な動きであることがわかった。この新知見は、人工衛星や人工筋肉を作製するための新たな設計原理を生み出す可能性を秘めている。その詳細を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。
アイスプラント種が多数含まれるハマミズナ科は、いくつかの適応を進化させ、これによって水資源の乏しい環境で繁栄した。こうした繁栄にとって中心的な役割を果たしたのが、独特の種子分散メカニズムで、種子鞘に液体水が十分に溜まると、種子鞘の保護弁が機械的に開く。今回、M Harringtonらは、砂漠に生息するアイスプラントの種子鞘が開く機構を研究し、この種子鞘が、膨潤性セルロース層を介した協調的な曲げ・包み機構によって、水分補給に依存しつつ可逆的に開くことを発見した。
Harringtonらは、この砂漠性のアイスプラントに見られるような細胞活動に依存しない植物の動きが、外部刺激に応じて形状が変化する「プログラム可能な素材」の設計にインスピレーションを与えるかもしれない、と結論づけている。
doi:10.1038/ncomms1336
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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