環境:ポリ袋やペットボトルを開ける時にマイクロプラスチックが発生するかもしれない
Scientific Reports
2020年3月20日
日常的作業で、プラスチック包装容器類(例えば、ポリ袋やペットボトル)を開いたり、開けたりすることが、少量のマイクロプラスチック(長さ5ミリメートル未満の小さなプラスチック粒子)の発生に寄与するという研究結果を示した論文が、Scientific Reports に掲載される。
マイクロプラスチックは一般的に、例えば化粧品の剥離のように工業製品から直接的に、あるいは大きなプラスチック製品が時間の経過によって分解することで間接的に生じると考えられている。しかし、プラスチック包装容器類を切ったり、引き裂いたり、ねじったりするなどの日常的作業の寄与については十分に解明されていない。
今回、Cheng Fangたちの研究チームは、チョコレートのプラスチック包装を引き裂いて開けたり、封止テープを切ったり、ペットボトルの蓋を開けたりする際のマイクロプラスチックの発生をモニタリングした。化学的試験と顕微鏡観察によって、こうした過程においてマイクロプラスチックが発生することが確認された。
Fangたちは、プラスチック包装を引き裂いたり、切ったりする時に、さまざまな形状と大きさのマイクロプラスチック(ナノメートルからミリメートル大のプラスチックの繊維や断片、三角形のプラスチック片)が発生することを見いだした。最も多く発生したのは、プラスチックの断片と繊維だった。また、Fangたちは、プラスチックを切ったり、ねじったりする際には、プラスチックの開け方とプラスチックの状態(剛性、厚み、密度など)に応じて、プラスチック300センチメートル当たり10~30ナノグラム(0.00001~0.00003ミリグラム)のマイクロプラスチックが発生すると推定した。
今回の研究結果は、ポリ袋やペットボトルを開けるといった日常的作業が、少量のマイクロプラスチックの新たな供給源になり得ることを示唆している。しかし、マイクロプラスチックのリスク、毒性可能性、体内に摂取される過程については、まだ解明されておらず、ヒトへの曝露に関するさらなる研究が必要になっている。
doi:10.1038/s41598-020-61146-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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