Research Press Release
水力発電貯水池からの炭素放出
Nature Geoscience
2011年8月1日
最近低緯度地方に作られた水力発電貯水池は、水力発電から放出される二酸化炭素とメタンという温室効果ガスの最大の原因となるとの報告が寄せられている。しかしながら、水力発電貯水池からの放出全体はこれまで考えられていたよりは少ない。
F Rolandたちは全球に分布した85の貯水池をメタ解析して、水力発電貯水池からの炭素放出は貯水池の年代とともに、また緯度とともに減少すると述べている。彼らは、最大の放出率はアマゾン地域で起きており、新しい貯水池の位置は炭素放出を最小にするように注意深く選ぶ必要があると結論している。
News & ViewsでB Wehrliは次のように述べている。「(研究チームにより)得られた全球の温室効果ガス放出率は、内陸の水源からの全球的な炭素放出の見積もりの約4%を占めているに過ぎない。水力発電を稼働させることによる温室効果ガス放出は重要ではないと片付けるには時期尚早である」。
doi:10.1038/ngeo1211
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
心理学:画像の特徴は時間の経過の感じ方に影響を及ぼす可能性があるNature Human Behaviour
-
天文学:人工知能が明らかにするブラックホール周辺に生じるフレアの3DモデルNature Astronomy
-
がん:複数のがん種の診断ツールNature Sustainability
-
古生物学:インドで発見された化石は新属新種の古代の大蛇だったScientific Reports
-
生体力学:昆虫の翅のヒンジは筋肉によって制御されているNature
-
気候変動:気候変動に伴う経済的コストNature