【医学研究】ロボット支援超微細手術が人間で実証される
Nature Communications
2020年2月12日
専用のロボットプラットフォームを用いたロボット支援超微細手術の、ヒトでの初めての試験を行った試験的研究について報告する論文が、Nature Communications に掲載される。
技術の進歩により、体内の直径0.3ミリメートル程度の血管であっても超微細手術を行えるようになった。しかし、超微細手術の成功は、執刀医の手が正確で安定している場合に限られている。ロボット支援超微細手術では、より洗練された微妙な動きができるため、この問題点を克服できる可能性がある。最近、この目標を達成するためにMUSAという新しいロボットが開発され、前臨床試験で、このシステムを使用することの安全性と実現可能性の評価が行われた。
今回、Tom van Mulkenたちの研究チームは、MUSA支援手術又は人間の手による手術を受けた乳がん関連リンパ浮腫の患者(20人)が関係する無作為化実現可能性試験を実施した。van Mulkenたちは、術後1か月と3か月の患者転帰、手術の所要時間と手術中に形成された静脈系とリンパ系の接続(リンパ管静脈吻合術)の質を評価した。その結果、van Mulkenたちは、MUSAロボットを使ってロボット支援超微細手術を完遂することが可能であり、これが患者の生活の質の向上につながることの確証を得た。
以上の研究結果の正当性を確認するには、この研究よりも多くの患者と外科医を対象とした大規模な多施設試験を行う必要がある。これに対して、Mulkenたちは、今回の研究で得られた知見により超微細再建手術の将来が有望視されると結論付けている。
doi:10.1038/s41467-019-14188-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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