肺がんをより早く見つけるAI
Nature Medicine
2019年5月21日
胸部コンピューター断層撮影(CTスキャン)で悪性の肺結節を検出でき、その成績は熟練の放射線科医に匹敵し、場合によってはそれを超える、という人工知能(AI)
フレームワークが報告された。この深層学習モデルを使った自動化画像評価システムが実現すれば、肺がんの早期診断の正確度が高まり、それによって臨床介入に役立つ情報が得られる可能性がある。
肺がんは、米国のがん関連死の原因としては最も多く、2018年の死亡者数は16万人と推定されている。米国と欧州での大規模な臨床試験によって、肺がんは胸部CTによるスクリーニングによって発見でき、死亡率を下げられることが明らかになった。しかし、この検査法は誤診率が高く、実施に制約がある。さらに他の臨床的要因も加わるため、肺がんが見つかるのは治療の難しい進行した段階に至ってからとなることが多い。
D Tseたちは、肺結節の悪性度をヒトが加わらずに判定できる深層学習モデルを開発し、4万2290枚のCTスキャン画像を使って訓練した。このAI搭載システムは、テストに使われた6716例で微小な悪性の肺結節を94%の正診率で検出できた。以前に撮影したCT画像が得られない場合には、このモデルの成績は、診断を行った6人の放射線科医全員の成績を上回り、以前の画像がある場合には医師たちと同程度だった。
Tseたちは、今回の知見は大規模な患者集団で臨床的に検証する必要があると警告しているが、このモデルは肺がん患者の管理や転帰の改善を助ける可能性があるとも述べている。
doi:10.1038/s41591-019-0447-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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