Research Press Release
腫瘍を探して仲間を呼び集める
Nature Materials
2011年6月20日
昆虫の集団形成に見られるような伝達シグナル増幅を利用して生体内で腫瘍を標的化するナノ粒子系システムが、Nature Materials(電子版)に報告される。自発的に動作するこのシステムは、伝達シグナルを用いない場合と比較して40倍の用量の抗がん剤を腫瘍に蓄積させる。
S N Bhatiaらによって報告されたこのナノ粒子システムは、腫瘍を探し出す「シグナル発信」モジュールと薬剤を積み込んだ「受信」モジュールで構成されている。シグナル発信ナノ粒子が腫瘍の位置を突き止めると、凝固カスケード(血液が血栓を形成する複雑な過程)を利用して、血液中を循環している血栓標的化受信モジュールに腫瘍の位置情報を広く伝える。次に受信モジュールが腫瘍に向かって集まり、薬剤を送り届ける。この伝達システムを用いると1回の処置で、マウスに移植されたヒトがんの成長が、伝達を行わないモジュールを用いたときよりも長く阻害された。
「このシステムの臨床応用を検討する前に長期的研究が必要であるが、がんの標的化診断・治療の改善に大きな可能性が期待される」と関連したNews & Viewsの記事でY Xiaらが述べている。
doi:10.1038/nmat3049
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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