Research Press Release
冷却原子を利用した新しい顕微鏡
Nature Nanotechnology
2011年5月30日
冷却原子走査プローブ顕微鏡という新しいタイプの顕微鏡がNature Nanotechnologyに報告される。この顕微鏡を使用すれば、原子と表面の相互作用をもっと正確に測定できるようになるかもしれない。
A Guntherらは、原子間力顕微鏡の固体チップを、絶対零度付近まで冷却されたルビジウム原子ガスに置き換えることによって、新しい顕微鏡を作製した。彼らは、磁場を利用してルビジウムガスを捕捉・冷却した後、それを調べたい表面の近くまで動かした。表面との相互作用の結果ガス中から失われた原子の数を測定することによって、カーボンナノチューブ構造体と個々の自立型ナノチューブの位置と高さを測定することができた。その顕微鏡の分解能は、ボーズ-アインシュタイン凝縮体とよばれる特殊な超低温ガスを形成するようさらに原子を冷却することによって改善された。また、顕微鏡をサンプルに近づけると磁気トラップ中で凝縮体が前後に動くが、その動き方の変化を測定することによって表面を調べられることがわかった。
この新しい顕微鏡は、まだ原子間力顕微鏡の分解能にかなわないが、原子間や原子と表面の間の分散力をもっと正確に測定できるようになるかもしれない。
doi:10.1038/nnano.2011.80
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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