Research Press Release

【微生物学】地面を掘って抗生物質を探す

Nature

2018年6月14日

土壌中に生息する細菌は、新しい抗生物質やその他の医薬品の未開発の供給源となる可能性のあることを報告する論文が、今週掲載される。

今回、Jillian Banfieldたちの研究グループは、米国カリフォルニア州北部の草地土壌生態系において、これまでに培養されたことがなく、ほとんど研究されていなかった数百種の細菌を採取し、概要ゲノム塩基配列を解読して、1000種類以上の生合成遺伝子クラスターを同定した。これらの遺伝子クラスターは、さまざまなペプチド、抗菌性毒素やその他の機能不詳の代謝産物などを含む広範な分子を合成すると推定された。これらの遺伝子の発現は、土壌試料を採取した場所と深さによって異なっていたことから、多様な環境条件に対する生物学的応答が示唆される。

土壌中に生息する微生物は、抗生物質、抗真菌剤、免疫抑制剤など、さまざまな有用な二次代謝産物を産生することが知られているが、このような分子の大部分は、培養されたごくわずかな種類の微生物群だけに由来している。今回の研究では、これらの分子の供給源となり得る微生物の範囲が広がり、これまで知られていなかった2つの細菌種が極めて大きな生合成能力を有することも明らかになった。さらに、今回の研究から、土壌細菌が複雑な二次代謝産物を使って個体間の情報伝達を行っている可能性が示されている。

doi:10.1038/s41586-018-0207-y

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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