Research Press Release
【物理学】防犯タグに応用可能なレーザーシール
Nature Communications
2018年5月2日
自立膜として働く、厚さ1ミクロン(1000分の1ミリメートル)足らずのフレキシブルメンブレンレーザーを、紙幣やコンタクトレンズなどさまざまな材料に貼り付けて使えることを報告する論文が、今週掲載される。今回の研究では、このレーザー光の性質が独自の識別子となり、防犯タグとして使えることが示された。
今回、Malte Gatherたちの研究グループは、有機メンブレンレーザーを、支持基板から離れたさまざまな物体の表面に転写する方法を開発し、レーザーを、フレキシブルな新しい機能性オプトエレクトロニクスデバイスにした。また、Gatherたちは、このデバイスを別の物体に貼り付けても、柔軟で、機械的にロバストであり、理想的な条件下で保管できなくても光学特性が数か月間は変化しないことを実証した。
Gatherたちは、この超薄型レーザーを紙幣とコンタクトレンズに貼り付けることに成功し、このデバイスをフレキシブルなウエアラブル防犯タグとして使用できるという考えを示している。この研究成果は、さまざまな材料を試し、レーザーの格子構造を調節することで実現したもので、レーザーの発光が、平坦な背景上で特定の一連の明瞭な線(デジタルバーコードの0と1)となるよう設計されている。
doi:10.1038/s41467-018-03874-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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