【生体医用工学】フレア応答性ヒドロゲルによる関節炎の治療可能性
Nature Communications
2018年4月4日
薬物を放出するゲルが炎症性関節炎の疾患活動性に応答することをマウスモデルで示した論文が、今週掲載される。
炎症性関節炎の患者は、疾患の活動性が低下したり、非常に高くなったりする(フレアアップとして知られる)時期を経験する。しかし、決まった量の医薬品を投与する治療法では、こうした変動に対処・適応することができず、疾患の活動性が変動している間に用量が最適でなくなる可能性が高い。
今回、Jeffrey Karpたちの研究グループは、フレア応答性ヒドロゲルを開発して、炎症性関節炎の活動性と薬剤用量のミスマッチを解消することを目指した。炎症性関節炎の細胞モデルとマウスモデルにおいて、このヒドロゲルを関節炎関連酵素にさらすと、ヒドロゲルは分解された。このヒドロゲルにはさまざまな低分子を封入でき、その放出量をフレアアップの重症度と相関させることができる。関節炎の治療に用いられるコルチコステロイドをヒドロゲルに封入したところ、関節炎の活動性が低下したことが観察された。
Karpたちは、フレア応答性ヒドロゲルが炎症性関節炎の有望な治療法候補になるという考えを示す一方、ヒドロゲルの組成を改善するために研究を積み重ねる必要があり、ヒトでの臨床試験を検討する前に、ヒトと同等の大きさの関節を持つより大型の動物を用いた試験が必要である点に注意を要する、と指摘している。また、Karpたちは、今回の研究が疾患活動性に応答する治療法の設計に向けた第一歩になる可能性があると結論付けている。
doi:10.1038/s41467-018-03691-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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