Research Press Release

BIN1がかかわる筋疾患

Nature Medicine

2011年5月30日

筋強直性ジストロフィーは多く見られる種類の筋ジストロフィーだが、この病気で見られる筋肉の活動異常に、BIN1遺伝子のRNAスプライシングの誤りがかかわっていることがわかった。この知見は、筋強直性ジストロフィーの重要な症状の原因となる新しい機序を示している。

筋強直性ジストロフィーは、筋肉のミオトニア(筋強直症)とよばれる活動異常と筋萎縮を特徴とする。この病気の原因は、特定の遺伝子の変異が変異した結果、RNAのトリプレットリピート(三塩基反復)が長くなることである。この伸長した反復配列が重要なRNAプロセシング酵素を隔離するため、他の遺伝子のRNAスプライシングに誤りが生じる。

N Charlet-Berguerandたちは、この影響を受けるRNAの1つが、BIN1遺伝子からつくられるRNAであることを発見した。BIN1は、骨格筋細胞の膜構造の形成に不可欠であることが知られていて、骨格筋の興奮と筋収縮が正しく結びつくのは、この膜構造のおかげである。BIN1の誤ったスプライシングによってBIN1の異常なアイソフォームが発現され、この膜構造に異常が生じて興奮-収縮の連係が損なわれることが、ミオトニアの説明になりそうだ。

doi:10.1038/nm.2374

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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