Research Press Release
幹細胞の培養を単純化する
Nature Methods
2011年4月11日
ヒトの多能性幹細胞を増殖させるための単純で化学的に明確な培養系が、Nature Methods(電子版)で発表される。そうした方法は、異なる研究施設から発表される結果の標準化とともに、多能性幹細胞の最終的な臨床利用にとっても重要である。 多能性幹細胞は培養条件に極めて敏感であるため、その取り扱いの一部はサイエンスであるが、ほとんどアートとも言うべき部分も残されている。適切に取り扱わなければ、死滅したり、「幹細胞性」を喪失したりするのである。これまでの研究では、多能性幹細胞がペトリ皿で増殖することを可能とする複雑な混合系の中でそれに関連する物質を突き止めることに、大きな精力が傾けられていた。 J Thomsonたちは、幹細胞培地の最低限の構成要素を明らかにするためのを系統的な分析を行った。徹底的な組み合わせ試験により、液体培地中の必要成分がわずか8種類の主要な要素にまで絞り込まれた。そのいずれもが化学的に明らかにされている。所定の表面被覆と併用することにより、この培地では、ヒト ES細胞の長期培養とともに、新鮮な生検材料からのヒト人工多能性幹細胞の効率的樹立および長期培養が可能であることが示された。
doi:10.1038/nmeth.1593
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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