【神経科学】加齢によるリスク選好の変化は脳構造の変化によって説明できる
Nature Communications
2016年12月14日
昔から知っていて見慣れたものを選ぶ傾向は年齢を重ねるにつれて顕著になるが、この傾向は、加齢ではなく特定の脳領域の灰白質の変化によってうまく説明できることを明らかにした論文が掲載される。
ヒトがリスク(別の言い方をすれば「予測できない結果」)を伴う意思決定を行う際には、右後部頭頂皮質という脳領域が活動している。これまでの研究では、この領域の灰白質の量が若年成人のリスク選好と相関していることが明らかになっている。ヒトは年をとるとリスクのある決定をあまりしなくなるが、その原因が、年を重ねて得られた知恵なのか脳の構造なのかは分かっていない。
今回、Ifat Levyの研究チームは、52人の被験者(18~88歳)による実験を行い、確実な選択肢(5ドルが得られる)と不確実な選択肢(5~120ドルが得られるが、実際に得られる額はランダムな確率で決まる)のいずれかを選ばせた。予想通り、高齢の被験者と若い被験者を比較すると、高齢の被験者の方が確実な選択肢を好み、確実な選択肢を好む傾向は年齢が高くなるほど顕著になった。次にLevyたちは、このデータをモデルに組み込んで、こうした好みの変化を予測する変数として最も適したものを判定した。その結果、こうした好みをもたらす主たる因子が、加齢ではなく、右後部頭頂皮質の灰白質の量であることが判明した。この結果は、健康な加齢において生じる脳の変化が、これまで考えられていた以上にヒトの意思決定のパターンと選好に強い影響を与えていることを示唆している。
doi:10.1038/ncomms13822
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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