Research Press Release
【遺伝学】ハイブリッドイネが高収量となる原理
Nature
2016年9月8日
親品種に対するハイブリッドイネの収量改善の遺伝的基盤に関する新たな洞察が今週の掲載論文で示され、世界の食糧需要を満たすべくデザインされる育種戦略の最適化を進める上で有用なものになると考えられる。
育種の実施は、2種類の品種の交雑個体がいずれの親よりも多収となるような作物を選択する戦略によることが多く、例えば、広く用いられているハイブリッドイネ品種の収量は近交系の親を約10~20%上回っている。しかし、「雑種強勢」というこの現象の遺伝的基盤は明らかにされていない。
Bin Hanたちは、17種類の優良イネ系統から得た1万株を超えるイネを解析することによって収量関連の形質および雑種強勢の効果に関する大規模なゲノムマッピングを行った結果を示している。研究では、現代のイネ品種が主要な育種システムを反映する3つの主要なタイプに分類されることが明らかにされた。各群には、高収量に関する雑種強勢効果と関係する母親由来のゲノム領域が少数特定されたが、そうした座位は3群の間で一致していなかった。
今回の結果はイネの収量形質に関する雑種強勢のゲノム構造を明らかにしており、それは作物改良計画に有用な情報と考えられる。
doi:10.1038/nature19760
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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