Research Press Release

米州では、妊娠可能な165万人の女性がジカ感染の脅威にさらされている

Nature Microbiology

2016年7月26日

160万人(145~206万人)以上の妊娠可能な女性を始め、米州全体で9340万人(8160~1億1710万人)が、現在のジカウイルス流行第1波の間に感染する恐れがあることが、モデルに基づく予測で明らかになった。この研究によれば、感染女性の胎児に有害な影響が出る現在の確率から考えると、悪影響を受ける妊娠件数は数万例になる恐れがあるという。

ジカウイルスは蚊が媒介する病原体で、急激に米州に広まるにつれ、先天性小頭症など、さまざまな胎児の発達障害との関連が疑われてきた。6月30日現在で、ジカウイルス感染が関連する小頭症は、5か国で1,674例が確認されている。

Alex Perkinsたちは、米州人口のうち、ジカウイルス感染のリスクがある人の割合を見積もるこれまでより優れた方法を考案した。この方法はこれまでの推定方法に、集団免疫(社会の中でジカ感染に対する免疫を持つ人が必要な最小人数を超えると、社会の残りの人たちが間接的に免疫される)や基本再生産数(完全に免疫を持たない集団に入った1人の感染者が生じさせる新しい感染者の推定数)といった生態学理論を加味した改良法である。これらの理論を、実際の集団内のジカ感染レベル(血清を測定した血清陽性率)やウイルス伝播の推進要因について空間的に詳しく解析したデータと組み合わせて、場所に応じたジカウイルスの感染率を予測した。ジカ特異的なウイルス伝播のパラメーターはまだほとんど分かっていないので、より現実的な予測をするために、著者たちはデングウイルスやチクングニアウイルスの流行から得た情報を利用している。この予測を、信憑性のある最悪のシナリオとして、あるいは最初の局所的流行があると仮定した場合のその大きさの予測と受け止めるべきだと、著者たちは述べている。

doi:10.1038/nmicrobiol.2016.126

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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