Research Press Release
太平洋の海面水温は米国東部の熱波を予測する
Nature Geoscience
2016年3月29日
米国東部における夏季の熱波は、太平洋で海面水温に特定の変化パターンが起きることに基づいて、50日前から予測することができるとの報告が、今週のオンライン版に掲載される。
気候変動は夏季の熱波の頻度と強度の両方を悪化させる可能性がある。しかしながら、このような事象を予測することは社会経済的には重要な利益をもたらすが、難しい課題である。
Karen McKinnonたちは、1982年から2015年の間で熱波が同じ時期に発生したことが観測された、米国東部の大部分にまたがる気象観測点群を明らかにした。McKinnonたちは続けて、このような米国東部の場所で熱波に先立って典型的に表れ、練度の高い予測をするために用いることができる、太平洋海面水温が変化するパターンを探し出した。著者たちは、このメカニズムについて、太平洋の海面水温パターンが伝播する高気圧と低気圧帯に異常をもたらし、そして米国東部の降水量を減少させて熱波を引き起こすと分析している。最終的に、McKinnonたちは彼らの方法が、結果論ではあるが、3回の熱波という特徴を持ち、当時はうまく予測できなかった、異常な高温となった2012年の夏を予測できた可能性があることを立証している。
doi:10.1038/ngeo2687
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物学:チンパンジーはアンドロイドからのあくびがうつることがあるScientific Reports
-
気候変動:干ばつの深刻化を招く要因の評価Nature
-
生物学:母親の鉄欠乏がマウスの雄の性決定に影響を及ぼすNature
-
気候:海と大気の相互作用が2023年の北大西洋熱波をもたらしたNature
-
天文学:天の川銀河はアンドロメダ銀河との衝突を回避できるかもしれないNature Astronomy
-
生体医工学:AIペンが筆跡からパーキンソン病を検出Nature Chemical Engineering