Research Press Release
ビタミンAをバイオ強化したトウモロコシ
Nature Genetics
2010年3月22日
ビタミンA前駆体であるベータカロチンの合成に関与するcrtRB1遺伝子における複数の自然発生的な多型が、トウモロコシの高いベータカロチン量に関連することを報告する論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。現在、こうした有益な遺伝的多型は、健康状態改善のためにビタミンAを必要とする開発途上国で栽培される熱帯性トウモロコシに交配によって導入されている。
開発途上国では、年間数十万人の子どもが、ビタミンA欠乏症(VAD)が原因で失明し、その半数は、VAD関連の疾患で命を落としている。自然発生した遺伝的多型を使ってビタミンAをバイオ強化した作物を作り出すことは、VADやその他の微量栄養素欠乏症と闘う1つの方法だ。
T Rochefordらは、トウモロコシを使って、ベータカロチンの合成に関与することが知られる酵素ベータカロチンヒドロキシラーゼの自然発生変異体を調べた。その結果、crtRB1遺伝子における特定の遺伝的多型の組み合わせによって、トウモロコシのベータカロチン量が、ベースライン値の0.5マイクログラム/グラムから平均で約9マイクログラム/グラムに増加することを明らかにした。
doi:10.1038/ng.551
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
加齢:老齢マウスに「若々しい」免疫系を取り戻させるNature
-
気候変動:極域の氷融解が世界の基準時刻に影響を及ぼす可能性Nature
-
生態学:温暖化と乾燥によってハチ類の多様性が脅かされているNature
-
機械学習:ベルギービールの風味を高めるNature Communications
-
生物学:妊娠中の母マウスの食餌が仔の顔の特徴に影響するかもしれないNature Communications
-
気候変動:気候変動がワイン生産に及ぼす影響を評価するNature Reviews Earth & Environment