注目の論文
細胞表面の毛に差がある
Nature Nanotechnology
2009年4月13日
Brushes make a difference
科学者らは、正常細胞とがん細胞の機械的特性の間に決定的な違い、すなわち細胞表面のブラシ(微細な毛)に違いがあることを確認した。Nature Nanotechnology(電子版)に報告されるこの発見は、原子間力顕微鏡という高分解能顕微鏡(細胞の形態や力学的性質の研究に通常使用される)を用いてがん細胞を研究する際の新たな検討事項を提示するものである。
がん細胞が正常細胞と異なる機械的特性や接着特性を示すことはよく知られている。しかし、その理由は、これまで明らかにされていなかった。
主として微小な隆起部や微絨毛とよばれる微細な毛で構成される細胞表面のブラシは、外部環境と相互作用する上で重要である。I Sokolovらは、これらのブラシを説明するモデルに従って、原子間力顕微鏡を用いて細胞表面から得た力測定結果を処理し、がん細胞が正常細胞と異なることを定量的に示した。正常細胞は、ある長さのブラシをもつ。ところが、がん細胞は主として密度の著しく異なる2種類の長さのブラシをもつ。
ブラシ層の違いは生物学的に重要である可能性があり、原子間力顕微鏡を用いた機械的方法で細胞の特性評価を行う際に考慮すべきであることを、著者らは示唆している。
doi: 10.1038/nnano.2009.77
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