注目の論文

ネットワーク:革命についてツイートすると…

Scientific Reports

2011年12月16日

Networks: Tweetin’ ‘bout a revolution

最近、アラブ世界や欧米で起こった民衆の抗議行動の波、例えば、2011年8月のロンドンでの暴動や今も続く「占拠」運動などでは、運動が急速に広がることが多くなったが、その一因がツイッターやその他のインターネット技術だとよく言われる。しかし、こうした技術によって行動への呼びかけが広まり、集団運動が組織化されていくメカニズムを示した経験的証拠はほとんどない。 今回、S Gonzalez-Bailon、Y Morenoたちのチームは、金融危機に対する政治的対応に対するスペインでの一連の抗議行動の時期(2011年5月)のツイッター活動のデータを調べた。そして、8万人のユーザーの投稿行動を調べ、抗議行動に関する約60万件のメッセージを追跡調査して、運動への動員と情報伝播の動態を分析した。その結果、Gonzalez-Bailonたちは、動員過程を主導した初期参加者のネットワーク内での位置に重要性がないという傾向を指摘し、むしろ重要なのは、情報を広範かつ迅速に広める責任を負い、ネットワークの中心部の近くで小規模なユーザーグループを形成する人々の位置だとする見方を示している。 ただし、今回の研究データは、ユーザーの人口統計情報やオフラインメディアへの露出といった点での補正を行っていないため、これらの要因について解明し、抗議行動の発生を有意に予測するためには今後の研究の蓄積が必要だ、とGonzalez-Bailonたちは述べている。

doi: 10.1038/srep00197

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