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物理学:新たな原子核時計が登場

Nature

2026年10月8日

Physics: New nuclear clocks on the block

Nature

トリウム229(thorium-229)を用いて初めて動作が実証された原子核時計(nuclear clocks)を報告する2報の論文が、今週のNature にオープンアクセスで掲載される。光と原子核の相互作用を観測して時間を計測するこれらの時計は、原子時計(atomic clocks)を上回る性能を発揮する可能性がある。このような高精度の計時技術は、基礎物理学の探究に役立つと考えられる。

70年以上にわたり、原子時計は時間を精密に測定するために用いられてきた。原子時計は、電子が2つのエネルギー状態の間を遷移する際の周波数を追跡することで時間を測定する。2003年には、原子核内の遷移を追跡することで、さらに高い精度が得られる可能性が提唱された。原子核は、原子よりはるかに小さく、原子の体積のごく一部を占めるに過ぎないためである。金属トリウムの放射性同位体であるトリウム229は、その低エネルギーの異性体遷移をレーザーで直接追跡できることから、原子核時計に適した原子核の候補として提案された。

Thorsten Schummら(ウィーン工科大学〔オーストリア〕)とShiqian Dingら(清華大学〔中国〕)は、別々の論文で、トリウム229を用いた原子核時計の動作を初めて実証した。両グループとも、トリウム229をフッ化カルシウム結晶に封入し、遷移周波数、すなわち時計の「刻み(tick)」を測定した。いずれの時計も、時間のずれ(ドリフト)をきわめて小さく抑えて時間を計測したが、その現在の安定性は最良の原子時計には及ばない。Schummらは、さらなる研究によって、安定性を約4桁、すなわち約1万倍高められると述べている。一方、現段階でも、この原子核時計を用いて精密物理学実験を行い、最良の原子時計に匹敵する感度でダークマターを探索できることを実証した。

これらの知見は、原子核時計が高精度の計時や基礎物理学の探究に利用される可能性を示している。

Toscani De Col, L., Riebner, T., Morawetz, I. et al. A thorium-229 optical nuclear clock with feedback loop. Nature (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-11084-4

Huang, B., Yan, G., Xiao, Q. et al. A nuclear clock synchronized to 229Th. Nature (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-11122-1

News & Views: Nuclear clocks tick for the first time
https://www.nature.com/articles/d41586-026-03060-9

 

 

doi: 10.1038/s41586-026-11084-4

英語の原文

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