注目の論文
【医学】マウスの体重を減らすキノコ
Nature Communications
2015年6月24日
Medicine: A mushroom that shrinks mice
漢方薬に用いられる霊芝(Ganoderma lucidum)というキノコがマウスの腸内微生物叢の構成を変えて、肥満を抑えることが実証されたという報告が、今週掲載される。この研究結果は、霊芝を用いた栄養補助食品が肥満とそれに関連した疾患の治療に有用な可能性を示唆しているが、ヒトにもこうした作用があることを確認するにはさらなる研究が必要だ。
肥満人口の多いことは、公衆衛生上の大きな脅威となっており、世界で約5億人が肥満、約14億人が過体重とされる。霊芝は、東洋医学において健康増進の目的で何世紀にもわたって用いられてきており、抗糖尿病作用があるという考え方が提起されている。
今回、Hsin-Chih Laiたちは、マウスモデルを用いた研究を行い、高脂肪食を与えられたマウスの食餌に霊芝抽出物を加えることの効果を調べた。霊芝抽出物入りの食餌を摂取したマウスは、高脂肪食による腸内微生物叢のバランス異常が改善され、体重が減り、その一方で腸障壁の完全性は保たれていた。また、今回の研究では、このマウスの糞便を他の肥満マウスに移植する実験が行われ、こうした霊芝抽出物の摂取による有益な代謝効果を再現できることが明らかになった。霊芝にプレバイオティック機能と体重減少機能があることが実証されたのは、今回が初めてだ。
doi: 10.1038/ncomms8489
注目の論文
-
5月9日
生物学:人為起源の地球規模の変化が感染症伝播リスクに影響を及ぼしているNature
-
5月8日
生態学:マッコウクジラの複雑な鳴音を調べるNature Communications
-
5月7日
遺伝学:APOE4遺伝子バリアントはアルツハイマー病の他とは異なる遺伝的タイプである可能性があるNature Medicine
-
5月3日
動物学:薬用植物を使って創傷治療を行う野生動物が初めて報告されるScientific Reports
-
5月3日
進化学:地球の磁場が弱くなっていたために地球上の生物の多様化が進んだのもしれないCommunications Earth & Environment
-
5月2日
人類学:長期的レジリエンスは苦難によって構築されるNature