注目の論文
ハンセン病原因菌株のゲノム塩基配列解読
Nature Genetics
2009年11月2日
Genome of strains of leprosy sequenced
ハンセン病を引き起こす病原体であるM. leprae(らい菌)の2度目の全ゲノム塩基配列解読が行われた。この知見に加えて、別の2つのらい菌株に関する詳細なリシーケンシング結果を合わせて報告する論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。
らい菌はハンセン病を引き起こす病原性細菌で、ハンセン病は、外観を損なう皮膚病変と感覚消失を特徴とする。ハンセン病は、先進国では大きな健康問題でなくなっているが、アフリカや東南アジアの開発途上国の限られた地域では高リスクの状態が続いている。現在、世界のハンセン病症例数は年間25万例に満たない。
これまでに、インドに由来するらい菌の菌株についてゲノム塩基配列解読が行われていたが、今回、ローザンヌ工科大学(スイス)のS Coleらは、ブラジル由来のらい菌株の全ゲノム配列を構築し、タイと米国由来の2つのらい菌株についても塩基配列解読を行った。以上4つの菌株は、地理的に離れた場所に由来しているが、ゲノムを比較したところ、99.995%一致していることが判明した。この意外な結果からは、ハンセン病が単一の細菌クローンを原因とすることが示唆されている。らい菌にゲノム多様性がみられないことは、薬剤の有効性がらい菌のほとんどの菌株で類似している可能性を暗示しており、ハンセン病治療にとって心強い。
doi: 10.1038/ng.477
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