注目の論文
【組織再生】治癒のアキレス腱
Scientific Reports
2014年7月3日
Tissue regeneration: Healing Achilles’ heel
マウスの腱損傷治療の方法に関する論文が、今週掲載される。人工腱の作製で胎仔マウスと成体マウスの繊維芽細胞(結合組織の細胞)を比較したところ、成体の細胞よりも胎仔の細胞を使用したときの方が、腱組織の再生が促されることが分かった。
腱の治癒には瘢痕形成が伴うことが多く、このために腱組織の機械的な強度が損なわれてしまう。成体の腱は再生によって回復することはないが、胎仔の腱は再生による回復が可能で瘢痕形成は起こらない。そこで、Xiao Chenたちは、腱治療に対する組織工学的なアプローチに使われるシード細胞に、胎仔の細胞が適しているかどうかを調べた。胎仔の繊維芽細胞から人工的に作製された組織を使ってマウスの損傷したアキレス腱を治療したところ、成体の繊維芽細胞から作製された組織よりも、構造的にも機械的にも優れた性質を示すことが明らかになった。
この手法に適したヒト胎児の繊維芽細胞は入手が難しいため、この技術をヒト細胞に適用する前に解決しなければならない問題がいくつかある、とChenたちは述べる。胎仔の繊維芽細胞が組織再生を高める仕組みを理解するには、さらなる研究が必要だと彼らは示唆する。今回の知見は、腱損傷治療のための新たな戦略を開発する助けになるかもしれない。
doi: 10.1038/srep05515
注目の論文
-
10月10日
老化:食事制限がマウスの健康と寿命に与える影響Nature
-
10月9日
バイオテクノロジー:電気縫合はラットの創傷治癒を促進するNature Communications
-
10月8日
老化:人間の平均寿命の延伸が鈍化しているNature Aging
-
10月3日
神経科学:ショウジョウバエの脳の完全な地図Nature
-
9月26日
ウイルス学:牛のH5N1型インフルエンザは搾乳によって広がる可能性があるNature
-
9月26日
進化:哺乳類の顎関節の起源を調査するNature