注目の論文
ヘッジホッグ経路シグナル伝達のエピジェネティックな阻害により腫瘍の薬剤抵抗性を抑える
Nature Medicine
2014年6月30日
Epigenetic inhibition of hedgehog pathway signalling in tumours
マウスの脳腫瘍や皮膚がんの一部で見られる薬剤抵抗性の1つを、ヘッジホッグシグナル伝達経路をエピジェネティックに阻害する物質を使って克服する方法が報告された。腫瘍の増殖と進展を促進するヘッジホッグシグナル伝達経路を標的とする薬剤は、薬剤抵抗性の出現によってその効果が減弱するのだが、今回の方法によって治療への新たな道が開かれる可能性が出てきた。
ヘッジホッグシグナル伝達経路はGliタンパク質の活性化を引き起こし、これが腫瘍の増殖を促進するシグナル伝達カスケードを誘発する。Y Choたちは、ヘッジホッグシグナル伝達を遮断するために、クロマチン調節タンパク質であるBETタンパク質ファミリー(遺伝子発現を調節する分子複合体)を標的にした。
BETタンパク質を低分子化合物JQ1で阻害すると、Gliタンパク質の発現が低下することが分かった。JQ1は、マウスでヘッジホッグシグナル伝達経路の阻害剤に感受性を示す腫瘍と抵抗性を示す腫瘍の増殖を障害した。この結果から、BETタンパク質のように経路の下流で遺伝子発現をエピジェネティックに調節する因子を標的にすることは、このような腫瘍に対する効果的な補助的治療となると考えられる。
doi: 10.1038/nm.3613
注目の論文
-
5月9日
生物学:人為起源の地球規模の変化が感染症伝播リスクに影響を及ぼしているNature
-
5月8日
生態学:マッコウクジラの複雑な鳴音を調べるNature Communications
-
5月7日
遺伝学:APOE4遺伝子バリアントはアルツハイマー病の他とは異なる遺伝的タイプである可能性があるNature Medicine
-
5月3日
動物学:薬用植物を使って創傷治療を行う野生動物が初めて報告されるScientific Reports
-
5月3日
進化学:地球の磁場が弱くなっていたために地球上の生物の多様化が進んだのもしれないCommunications Earth & Environment
-
5月2日
人類学:長期的レジリエンスは苦難によって構築されるNature